
現在、「黒髪山系大縦走」プロジェクトが、水面下で、密かに、活動を開始している。
そのプロジェクトの構成員となるべく、本日、私は、下見を兼ねて、有田ダムより英山に登り、黒髪山まで尾根歩きをした。
黒髪山に「最強の低山」との称号を与えたのは、『Green Walk』誌(3号)であった。
黒髪山系に、新しいキャッチフレーズをつけるとしたら、どんなものが良いか?
私は、縦走路を歩きながらこう考えた。
「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい」
あややややや……違った。
先日、『草枕』を久しぶりに読み返したので、この作品の冒頭の言葉がつい出てしまった。
「最強の低山」に抗しきれるキャッチフレーズ。
「低山のミラーボールや~!」
「低山のIT革命や~!」
「低山のメリーゴーランドや~!」
グルメリポーター・彦麻呂さんの名言をパクってみる。
「低山のアロマテラピーや~!」
「低山のイナバウワーや~!」
「低山のテーマパークや~!」
「低山の宝石箱や~!」
むむ、「宝石箱」は、なかなかイイぞ。
低山ながら、
岩場があり、
展望も良く、
植物種も豊富、
変化に富んだ縦走路は、歩いていて飽きることがなく、本当に楽しい。
とりあえず、今日一日だけのキャッチフレーズ。
「うーわぁ!! 見て~! 低山の宝石箱や~!」
9:14
有田ダムに着く。
今朝から霧が発生しており、なんだか墨絵のように見える。
遠くに見える山は、蓮華石山か?

9:38
有田ダムの駐車場奥から、英山に向けて出発。
色づいた落ち葉を見ていたら、12月も半ばというのに、まだ秋が続いているような気がした。

両側に羊歯植物の茂る美しい道を歩く。

足許に色づいた小さな葉が……

しばらくは遊歩道のような展望の良い道が続き、楽しんで歩く。

やがて自然林へ入る。

展望の良い岩場で、しばし寛ぐ。
眼前に英山がそびえ立つ。

有田の町の上空に薄い雲の層があって、その上から「天使の梯子」のような光が降り注ぎ、その部分だけが、ぼぉ~と白く浮かび上がった。
……神秘的な情景に見入ってしまった。

10:10
大イチョウのある年木谷登山口からの道と合流する。
ここらあたりに崩落した箇所が複数あり、注意を要する。

10:18
再び展望の良い場所に出る。

これから登る岩場が見えてくる。
英山に登るには、急な岩場を2箇所クリアしなければならない。
写真右手から中央上部にかけて登って行く。

10:35
切り立った岩場の下に到着。
岩にステップが切ってあり、この第一の岩場はロープを使わなくても登ることができる。

第一の岩場を上から見た写真。

やや登りにくいのは、第二の岩場。
足掛かり、手掛かりが少ないので、ロープを使うことも……でもロープは細いので、全体重を預けないように!
写真は、第二の岩場を上から見たもの。

第二の岩場を過ぎて、急登の後、尾根に出る。
11:00
英山山頂に到着。

山頂近くの岩場からの眺めは抜群だ。
今日は朝から霧が出ていて、なかなか霧が晴れない。
霧が出る日は晴れるというが、今日だけは違うようだ。
武雄方面を見ると、御船山が見えた。

左に目を転じると、八幡岳や船山(女山)が見えた。
墨絵のような美しさだ。

黒髪山に向けて歩き出す。
英山までは急登が続き、けっこう汗をかいたが、尾根道に入ってからは軽快に歩くことができる。

本城岳(前黒髪)を過ぎたあたりから展望が開け、黒髪山、青螺山、牧ノ山などの連なりを見ることができる。

展望の良い岩場が連続し、まったく飽きさせない。

遠望するのもイイが、こうして岩に生える植物を観察するのも楽しい。

やがて、眼前に、黒髪山の天童岩が見えてくる。

11:59
有田ダム分岐を通過。
下山はここから下る予定。

12:09
後ノ平から登ってくるルートにぶつかる。
ここから右折して5分ほどで黒髪山山頂である。

12:15
黒髪山山頂に到着。
山頂では、2グループが食事中であった。

山頂からは、青螺山が間近に見えた。
次回(って、いつだ?)は、竜門から後ノ平経由で黒髪山に登り、青螺山、牧ノ山と歩こうと思う。

13:14
有田ダムに到着。
このダム湖は、本当に美しいと思う。
傍らに立つ像は、彫刻家・古賀忠雄(有田工業学校出身)による乙女のブロンズ像。

このダム湖は、「秘色の湖」(ひそくのうみ)と呼ばれている。
命名者は、詩人の山本太郎(旧制佐賀高等学校出身)。

秘色は青磁の美称。
この湖の色は、エメラルドグリーン。
色の秘密は、焼き物生産の原料となる陶石から出るミョウバンの成分にあると言われている。
今日の湖面は、季節、或いは天候の影響か、こんな色をしていた……

が、昨年5月に見たときは、こんな色をしていました。
詩人をも魅了した湖を、あなたも見に来ませんか?
そして、この湖のエメラルドグリーンを見て、叫んでみましょう!
「うーわぁ!! 見て~! 低山の宝石箱や~!」
