
これまで、一人読書会と称して、
トーマス・マン『魔の山』
ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』
トルストイ『アンナ・カレーニナ』『戦争と平和』
などの海外の古典的名作を読んできたが、
いよいよ、最終目的としていた、
プルーストの『失われた時を求めて』に取り掛かろうと思う。
私が(極私的に)「読まずに死ねるか!」と思っている文学作品の筆頭で、(笑)
まだ(小さい字の)文庫本を読める今だからこそ挑んでおきたい。
若き頃に一度、井上究一郎訳の『失われた時を求めて』に挑んでいるが、
あえなく撃沈し、以降は、挑戦しようという意欲さえ湧かなかったのだが、
70歳を過ぎ、いよいよラストチャンスと思い、チャレンジするのである。
日本で全訳されたものとしては、以下の本がある。
●淀野隆三・井上究一郎・伊吹武彦・生島遼一・市原豊太・中村真一郎訳『失われた時を求めて』(全13巻)新潮社、1953~1955年。初の全訳。
淀野隆三・井上究一郎訳『第1巻 スワンの恋』I・II、1953年
井上究一郎訳『第2巻 花咲く乙女たち』I・II、1953年
伊吹武彦、生島遼一共訳『第3巻 ゲルマント公爵夫人』I・II、1953年
井上究一郎, 市原豊太、中村真一郎共訳『第4巻 ソドムとゴモラ』I・II、1953年
伊吹武彦訳『第5巻 囚われの女』I・II、1954年
生島遼一訳『第6巻 消え去ったアルベルチーヌ』1955年
井上究一郎訳『第7巻 見出された時』I・II、1955年
改訂版新潮文庫、1958-1959年/新潮社(新装、全7巻組)、1974年

●井上究一郎訳『失われた時を求めて』筑摩書房〈筑摩世界文学大系 全5巻〉、1973~1988年。初の個人全訳。
改訂版『プルースト全集 1-10』筑摩書房、1984~1989年/ちくま文庫(全10巻)、1992~1993年

●鈴木道彦訳『失われた時を求めて』(全13巻)、集英社、1996~2001年、読売文学賞・日本翻訳文化賞受賞(2001年)
改訂版集英社文庫(各・巻末エッセイ)、2006~2007年

●吉川一義訳『失われた時を求めて』(全14巻)、岩波文庫、2010年11月~2019年11月(最終巻に総索引収録) - 小西財団日仏翻訳文学賞受賞(2021年)

●高遠弘美訳『失われた時を求めて』(全14巻予定)、光文社古典新訳文庫、2010年9月~刊行中(2026年時点で第6巻まで刊行)

主な翻訳家4人のうち2人は既に亡くなっており、
井上究一郎(909年9月14日~1999年1月23日)享年89歳
鈴木道彦(1929年4月26日~2024年11月11日)享年95歳
吉川一義(1948年1月31日~)
高遠弘美(1952年3月22日~)
できれば現在存命の翻訳家の最も新しいものを読みたいと思ったが、
高遠弘美訳の光文社古典新訳文庫版はまだ第6巻までしか訳されておらず、
結果、吉川一義訳の岩波文庫(全14巻)を読むことにした。
すでに岩波文庫の全14巻・美装ケース入りセットも購入済みである。


美装ケースの絵は、フェルメール作『デルフトの眺望』。
プルーストはオランダ旅行時の1902年にデン・ハーグのハーグ美術館でこの絵画を見ており、知人に宛てた書簡で「ハーグで『デルフト眺望』を見てからというもの、この世で最も美しい絵画を見た、と思ってきました」と書いている。

岩波文庫の『失われた時を求めて』(全14巻)の全巻構成は、
次のようになっている。
第1篇『スワン家のほうへ』
第1部「コンブレー」
……………………………………………………以上、第1巻
第2部「スワンの恋」
第3部「土地の名ー名」
……………………………………………………以上、第2巻
第2篇『花咲く乙女たちのかげに』
第1部「スワン夫人をめぐって」
第2部「土地の名ー土地」
……………………………………………………以上、第3巻、第4巻
第3篇『ゲルマントのほう』
一
二
……………………………………………………以上、第5巻、第6巻、第7巻
第4篇『ソドムとゴモラ』
一
二
……………………………………………………以上、第8巻、第9巻
第5篇『囚われの女』
……………………………………………………以上、第10巻、第11巻
第6篇『消え去ったアルベルチーヌ』
……………………………………………………以上、第12巻
第7篇『見出された時』
……………………………………………………以上、第13巻、第14巻
◇ 失われた時を求めて 1 スワン家のほうへI
ひとかけらのマドレーヌを口にしたとたん襲われる戦慄。「この歓びは、どこからやって来たのだろう?」 日本の水中花のように芯ひらく想い出――サンザシの香り、鐘の音、コンブレーでの幼い日々。
◇ 失われた時を求めて 2 スワン家のほうへII
株式仲買人の出身ながら社交界の寵児スワンは、ある日友人に最下層の粋筋(ココット)オデット・ド・クレシーを紹介される。追う女、追われる男の立場はいつしか逆転し、初老の男は年下の恋人への猜疑と嫌悪に悶える(スワンの恋)。二人の結婚からジルベルトが誕生し、幼い「私」はシャンゼリゼで出会ったこの美少女に夢中になる(土地の名―名)。
◇ 失われた時を求めて 3 花咲く乙女たちのかげにI
少年の目に映るパリの社交風俗を描く、第二篇第一部「スワン夫人をめぐって」。オデットとの結婚によって上流階級との交際を断ったスワン。夫妻の娘ジルベルトへの想いを募らせ、スワン家のサロンの信奉者となる私。ある日、夫人のお供をした昼食会で憧れの作家ベルゴットと同席する栄に浴するも、初恋は翳りを帯び……
◇ 失われた時を求めて 4 花咲く乙女たちのかげにII
それから二年後、私はノルマンディーの保養地バルベックに滞在した。上流社交界のゲルマント一族との交際、「花咲く乙女たち」の一人アルベルチーヌの抗いがたい魅惑、ユダヤ人家庭での夕食、画家エルスチールのアトリエで触れる芸術創造の営み。海辺のリゾート地、ひと夏の燦めきを描く、第二篇第二部「土地の名―土地」。
◇ 失われた時を求めて 5 ゲルマントのほうI
パリのゲルマント館の一翼に引っ越した一家。家主の公爵夫人は神秘に包まれた貴婦人。その威光にオペラ座で触れた「私」は、コンブレー以来の夢想をふくらませ、夫人の甥のサン=ルーを兵営に訪ねて軍人の世界を垣間見たり、友人と愛人の諍いに巻き込まれながら、しだいに「ゲルマントのほう」へ引き寄せられる。
◇ 失われた時を求めて 6 ゲルマントのほうII
祖母の旧友ヴィルパルジ夫人のサロンで、「私」は憧れのゲルマント公爵夫人とついに同席。芸術、ゴシップ、ドレフュス事件など、社交界の会話の優雅な空疎さを知る。家では祖母の体調が悪化。哀しみを押し隠す母、有能で非人間的な医師、献身的で残酷な女中の狭間で、死が祖母を「うら若い乙女のすがたで」横たえるまでを「私」はつぶさに目撃する。
◇ 失われた時を求めて 7 ゲルマントのほうIII
冬に向かうパリ、「私」をめぐる景色は移ろう。――人妻との逢い引きの期待は破れるも、かつて夢見た「花咲く乙女」とはベッドで寄り添い、憧れのゲルマント公爵夫人からは晩餐の招待が舞いこむ。上流社交界で目にした気品と才気の実態、シャルリュス男爵の謎、予告されるスワンの死……
◇ 失われた時を求めて 8 ソドムとゴモラI
聖書に登場する悪徳と罪業の都市ソドムとゴモラ。本篇に入り、いよいよ同性愛のテーマが本格的に展開される。無意志的記憶により不意によみがえる祖母への想い。祖母を失ってしまった悲しみの感情に私は改めて強くとらえられる(「心情の間歇」)。私は再会したアルベルチーヌに同性愛の疑いをいだき、不安を覚える。
◇ 失われた時を求めて 9 ソドムとゴモラII
シャルリュスと青年ヴァイオリン奏者のソドム的関係。その一方で描かれるゴモラのテーマ。アルベルチーヌの同性愛を疑う「私」の嫉妬と動揺。彼女からヴァントゥイユ嬢とその女友達と深くつながっていることを告げられた「私」は激しい苦悩をおぼえるが、にわかに彼女と結婚しなければならないとの思いに駆られる。
◇ 失われた時を求めて 10 囚われの女I
海辺を自由に羽ばたく鳥――アルベルチーヌ――を、パリに連れ帰り、恋人たちの密やかな暮らしが始まる。籠の鳥となっても謎めいたままの女は、倦怠と嫉妬と疑惑で「私」を苛む。そんな狂おしい日々を彩る、朝の夢想、パリの物売りの声、芸術についての考察、大作家ベルゴットの死など。周囲の人々の流転とともに物語は進む。
◇ 失われた時を求めて 11 囚われの女II
ヴェルデュラン邸での比類なきコンサートを背景にした人間模様。スワンの死をめぐる感慨、ヴァントゥイユの知られざる傑作が開示する芸術の意味、大貴族シャルリュスの傲慢とブルジョワ夫妻の思いがけぬ報復。「私」もまた恋人への疑念と断ち切れぬ恋慕に苦しむが、ある日アルベルチーヌ失踪の報に襲われる。
◇ 失われた時を求めて 12 消え去ったアルベルチーヌ
アルベルチーヌの突然の出奔、続く事故死の知らせ。なぜ出ていったのか、女たちを愛したからか? 疑惑と後悔に悶える「私」は「真実」を暴こうと狂奔する。苦痛が無関心に変わる頃、初恋のジルベルトに再会し、その境遇の変転と念願のヴェネツィア旅行に深い感慨を覚える。
◇ 失われた時を求めて 13 見出された時I
懐かしのタンソンヴィル再訪が明かす、幼年時代の秘密。数年後、第一次大戦さなかのパリでも、時間は、容赦なく人びとと社会とを変貌させる。新興サロンの台頭、サン=ルーの出征、「破廉恥の殿堂」での一夜……。過去と現在、夢と現実が乖離し混淆するなかで、それを見つめる「私」に、文学についてのある啓示が訪れる。
◇ 失われた時を求めて 14 見出された時II
長い療養生活を経て、ゲルマント大公邸のパーティーに赴いた「私」は驚愕した。時は、人びとの外見を変え、記憶を風化させ、社交界の勢力図を一新していた。老いを痛感する「私」の前に、サン=ルーの娘はあたかも歳月の結晶のように現れ、いまこそ「作品」に取りかかるときだと迫る。(全14冊完結)
このブログにおける、これまでの一人読書会は、
読んだ箇所の要約を書いた後に、個人的な感想を述べるという形式だったが、
今回挑む『失われた時を求めて』という小説においては、
これまで読んできた作品のような要約は、あまり意味を成さず、
要約はせずに、ただ淡々と読み進め、
「完読」のための単なる「記録」として書き進めたいと思っている。
なので、ブログを読んでいただいている読者の方々には不親切な内容になると思う。
一応、計画としては、ひと月に1冊ずつ読んでいき、
2026年11月……第1巻
2026年12月……第2巻
2027年1月……第3巻
2027年2月……第4巻
2027年3月……第5巻
2027年4月……第6巻
2027年5月……第7巻
2027年6月……第8巻
2027年7月……第9巻
2027年8月……第10巻
2027年9月……第11巻
2027年10月……第12巻
2027年11月……第13巻
2027年12月……第14巻
という具合に、来年(2027年)末までに読了できるよう計画しているのだが、
計画より早くなるかもしれないし、遅くなるかもしれない。
気負うことなく、淡々と読み進めたいと思っている。
今回に限り、レビューを書くことが目的ではなく、
完読が第一の目的であるので、
私自身のためのメモみたいな記事になる可能性が高い。
〈『失われた時を求めて』をそんな風にして読んでいるんだなぁ……〉
と思ってもらえれば本望である。
「乞うご期待!」とも言えないし、
温かく見守って頂ければ……と思っている。
